【決起集会】第3話「タチの悪い流れ」


一度設定されたルールは、設定者の想像を超えて作用する。


例えば政治にしても、一度当選さえしてしまえば何をしてもいいというように。


2月14日、バイト終わりの俺は急いで電車に乗り込んだ。

というのも、この後に控えている追いコンに向かうためだ(追いコンは今年卒業する部活の4年生の卒業を祝うべく旅館に1泊して呑んだくれる会ね)。


会の開始まで時間があるので、俺は劇団の制作担当の太田君と東大前駅近くのインド料理屋で待ち合わせていた。俺たちは19時に会場に到着するために18時40分に店を出ることになっていた。


乗り継ぎのややこしさや、店の微妙なわかりづらさによって俺がインド料理店に到着した時間は18時18分だった。つまり第3回決起集会に残された時間は30分しかない。


俺は、はじめに書いた。

「俺(福田)と会って次回公演の話をしたら決起集会扱いにして物証に残す」

その弊害が早くも来たのである。


面白い文章を書くためには最低限の書くことがないとどんなに腕のある書き手でも限界があるし、30分の間でできることなんて、第二回決起集会の報告と、スパイシーなチキンでインドビールを流し込むことぐらいだわ。けっ!


店を出た俺たちは、駅に向かった(ごめん、続くんだわ)。

駅を出てインド料理屋に行って、会場に向かうどころか、もう一度駅に戻る。

もちろん理由がある。


時を戻そう。


インド料理屋に向かう少し前に俺は東大前駅に着いた。改札には、追いコンに来る4年生とOBGを会場までアテンドする予定の後輩たちがいた。


俺の予定では、後輩に気付かれるも「舞台の予定があるから」と爽やかで柔らかい口調で颯爽と去ることになっていた。

もし自分から話しかけたら、寂しがってる面倒くさい奴になってしまうから、あくまでも、相手発信で会話がスタートしないといけないのが面倒くさい。


駅のトイレで髪型を整えてから改札を出る。

俺は財布を取り出すのに手こずっているフリをして存在感を出してから、自分の視界に後輩たちは入っていないが向こうからは俺の顔が見える絶妙な顔面角度で、歩き続けた。

後輩の前を横切り、通り過ぎてからは靴紐を直すふりして後輩たちがいる方角に振り返り、階段を登り、階段を降りて、喉が渇いたフリをして自販機を探すもなかったっていう設定で戻り‥。


なんで気がつかないかなあ!

僕存在感ある方だと思うよ!身長180cm超えてる金髪で東大前に来るやつなんて俺ぐらいだよ!気がつけよ!さみしいよ!もっとみんなと話したいよ!


すると太田君からラインが来た。



ちくしょう覚えてろよ!


第3回決起集会を終えた俺と太田君は東大前駅に向かった。

駅の階段でFINE落合氏(役者、前回公演で大ハッスル、ちょっとスケベ)とすれ違ったので、福田、太田、落合でアテンドされに向かうと誰もいませんでした。


さみしいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!

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